噂好きのあの人、自分の中にいた

波打ち際の砂に残る二つの小さな石。起きたことはシンプルなのに、頭の中で噂のように話を膨らませてしまう日。

ちょっとモヤっとすることがあった。

起きたことだけを言えば、
たぶんとてもシンプルだ。

返事が少し遅かった。
いつもより口数が少なかった。
何となく、そうなった。

それだけ。

なのに頭は、すぐ動き始める。

きっと、こう思われた。
たぶん、あの言葉には別の意味がある。
この先、こうなるかもしれない。

頼んでもいないのに、
ものすごい速さで話を広げていく。

しかも、だいたいネガティブ風味。

気づけば、実際に起きたことより
頭の中のストーリーの方が大きくなっている。

尾ひれがつき、
少しずつ話が重たくなる。

それって、まるで
よくいる噂好きのあの人ではないか。

「あの人、最近こうらしいわよ」
「きっと何かあったのよ」
「だって普通、あんなことしないでしょ」

・・・いた。

自分の中にいた。

しかも、かなり近いところに。

そんな時は一度、
「で、実際には何が起きたんだっけ」
と聞いてみる。

返事が少し遅かった。
以上。

噂好きのあの人には、
そこでいったんお茶を出して
黙ってもらう。

たぶん明日には、
また何か仕入れてくるけど。

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