噂好きのあの人、自分の中にいた
ちょっとモヤっとすることがあった。
起きたことだけを言えば、
たぶんとてもシンプルだ。
返事が少し遅かった。
いつもより口数が少なかった。
何となく、そうなった。
それだけ。
なのに頭は、すぐ動き始める。
きっと、こう思われた。
たぶん、あの言葉には別の意味がある。
この先、こうなるかもしれない。
頼んでもいないのに、
ものすごい速さで話を広げていく。
しかも、だいたいネガティブ風味。
気づけば、実際に起きたことより
頭の中のストーリーの方が大きくなっている。
尾ひれがつき、
少しずつ話が重たくなる。
それって、まるで
よくいる噂好きのあの人ではないか。
「あの人、最近こうらしいわよ」
「きっと何かあったのよ」
「だって普通、あんなことしないでしょ」
・・・いた。
自分の中にいた。
しかも、かなり近いところに。
そんな時は一度、
「で、実際には何が起きたんだっけ」
と聞いてみる。
返事が少し遅かった。
以上。
噂好きのあの人には、
そこでいったんお茶を出して
黙ってもらう。
たぶん明日には、
また何か仕入れてくるけど。



